ーいつの間にかなくなっていた

23歳インフラ系総合職OLが、今までの人生で出会った男性たちの中でも忘れたくない人々と過ごした日々を独断と偏見の100%私目線で、そして少しの理想を込めた80%ノンフィクションのお話たち

重くって、軽い

 

ー未だにふと考える時がある

 

あの街に住む彼の事を

 

相変わらずあの部屋で
仕事に追われる生活をしているのだろうか

 

私は相変わらず大学生で
欲しい物も、食べたい物も、海外旅行も、
毎日同じことをこなす時間と引き換えに貰う給料で
何不自由なく生活している

 

 

今日、車窓から見える雨が一瞬雪に見えて
不覚にもふと浮かんできたのはあなたとの日々で
会いたいと思ってしまった
あの、大きな背中に抱きつくと
「もう満足した?」って鬱陶しそうに
だけど愛おしそうにつぶやくあなたに会いたい

季節はあれからもう一周してしまったというのに

 

私たちは雪の季節に出会って別れた
また誰かの温かさを必要とするこの季節に
再会できるのではないかと期待してしまいながら
また花が舞う季節が来て
私は それすら忘れてしまうのだろうか

 

* * *

 

2017年2月2日

福岡某所、私たちは初めて会った
彼と初めて会った時に着て行った服を覚えている
彼のスーツはいつものあれだった

 

当時37歳の彼は
180cmの身長と仕事終わりのスーツ姿で
年齢よりもマシに見えたけど、第一印象は
「ただのおっさんじゃん...」の一言。(笑)

 

会った瞬間帰りたかったけれど
わざわざ私もバイト終わりにオシャレして行ったので

せめてお酒くらいは飲んで帰ろうと思い
得意の自然な笑顔を作る
 

最初の会話は覚えてないし唯一覚えてるのは
私のデコルテを見るなり
「それ、キスマーク?」って聞いてきたことくらい

 

中学生の頃に胸元にニキビが出来て
悪化してケロイド状になっているもので
どう見ても単なる傷跡なのに、こいつ目も神経もどうかしてる・・・

初対面の女性に対して
よくそんなこといえるなあと感心した

 

”35歳過ぎた独身男性は顔または性格に難有り”
って聞くけどその通りだと
世間の通説を目の当たりにした、冬

第一印象も、その後の会話も何もかも最悪だった
初めて無駄な時間って
こういうことなのか...とも思ったくらい

 

 

 それなのに

 

 

 

————何故か気づくと私は彼の部屋にいた。

 

想像していたより私たちの相性は悪くなかった

意外だった

 

 

 

ただ私はもうこの人とは

一生会わないのだろうな と翌朝、
愛してくれる優しい人がこの先

この人生で見つかるといいね、なんて
事をしかめっ面で歩きながら

当時マイブームだったYUKIのプリズムを
大音量で聴きながら

そそくさと彼の部屋を出た

 

 

 

まぁまだ若いしこんな日もあるのだろう と
少し大人の世界に入った気になって
昨夜の出来事はきっと ”若気の至り” ってやつだ
と思いこませ、貰ったタクシー代で友達とランチして
彼のことはただの一夜の過ちで済ますつもりだった

そのつもりだったのに

 

 

 

、、、ネックレスを忘れて帰ってる事に気付いた。

 

 

しかもよりにもよって
19歳の誕生日に両親がくれた
5カラットのネックレス

【高身長、公認会計士、慶〇卒】
っていう肩書だったので
気合を入れたのが仇になった

 

私は、仕方なく彼にLINEをし
「大切なネックレスを忘れたこと」を伝えると
週末に時間を作ってくれ
紙に包んだネックレスをわざわざ渡しに来てくれた

 

正直、その時はまだ彼に興味がなかったので
どこでどんな風に渡されたのか記憶は定かではない

ただ、
白い印刷用紙に優しく包まれていたネックレスを
きっと私は忘れないのだろうなと
高島屋のカフェで綺麗に食べられていく
チーズケーキと彼を眺めていた

 

 

 

 

 

 

 

・・・あぁそうだった
私は彼のこういう優しさが好きだったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつでもそうだった

 


彼の気遣いは心地よかった
・・・その全てが好きだったし愛していた

私が勝手に部屋を借りるときは決まって
「部屋の掃除と洗濯してくれるなら」
と条件付きだったのを思い出す
(日常生活を任せれるくらい信頼してるんだよと
言われてるようで嬉しくもあった)
勿論、掃除も洗濯も基本的にしてはいたけれど
してない時も彼は「疲れてたんだね」って
頭をなでて不満そうな顔は一切感じられなかった

会社の付き合いで行ったお店で
美味しかったところがあるといつも
「〇〇予約しといて」と
私に予約を取らせて連れて行ってくれた
美味しいものを一緒に食べたいと思ってくれる事が
すごく嬉しくて、だけど
それを私に予約させる非紳士さが
苦手なロマンチックさをかき消してくれていた

 

勝手に家にお邪魔して、泊まって
「今日はそんな気分じゃない」
って一言で絶対に手を出してこない彼
かといって触れ合わず朝を迎えるのかというと違って
優しいキスとハグで包んでくれていた
(したい気持ちを抑えながら私の女としての
プライドを守ってくれていたのだと思う)

 

 

 

 

おそらく彼の本質的な部分なのだろう

 


彼はできる限り自分も相手も深く傷つかないように
人と接しているように見えた、私にも

そしてたぶん
その繊細さが彼自身を消費している様にも思えた

時に気遣いなしの無の状態でいてくれてる時も
あったけれど 今思えば
それさえも私が「素でいて欲しい」と言ってたから
素でいることを演じていてくれていたのではと
今だに彼のやさしさにハッとさせられている

もう一年以上も会っていないのに

 

 

 

 

わざとらしい気遣いをしない人であった

 

 

 

 

 

彼は、いつも気取ってなくて自然体だったから
私も常に素の状態で彼と接していられた

だから出来るだけ素の状態で話すよう
人と接する時に心がけていることの1つである

すっぴんで過ごす彼との休日は居心地が良くて
ゆっくりと流れる時間が恋しい

 

 

 

彼が一人で帰ってきた時には
私がそこにいたことを感じてほしくて
彼の留守中に部屋を出るときは必ずどこかに
置手紙を残していた

 

ある日
彼の貴重品置き場(時計とか名刺とか)の小物入れに
今まで私が書置きしてた紙が
全部仕舞ってあったのを発見した時に
今までの私に対する彼の気持ちは
私の痛い勘違いでは無かったんだと知って
安心して納得して無性に彼に
わがままになりたいと思った夜があった

それからは可愛いメモ帳を見つけると
思わず買ってしまっていたなぁ
”メモ帳を持ち歩く”という習慣の始まりは
彼へ置手紙をするためであった事
を思い出してしまった

 

こうして一つづつ過去の男たちは私に
様々な習慣を残して去っていくのだ、とても残酷に

 

 

 

そんなこんなで約一年と数か月
私たちはまるで恋人のような日々を送った
”ような”ではなく、正に恋人そのものだったし
私は恋人と思っていたのだと思う

”ような”と付けるのは
彼がどうしても私たちを
「恋人」だと認めなかったからで

 

彼は37歳で私は21歳、歳の差16歳
私の地元なら親子であってもおかしくない年の差

プライドが高い彼は、16歳も下の女性に対して
本気で惚れてて好きだなんて
口が裂けても言えなかったのだろう
自分の中の気持ちをごまかしていたのだと思う

 

ある夏の夜に彼の気持ちを確信した出来事がある

いつも彼は身体が冷えすぎると体調が悪くなると
クーラーの設定温度が高くて私は寝付けずに
とりあえず目だけ瞑っていると
横から彼が近づいてきて
おでこと唇にそっとキスをされ
そのあとずっと私の髪の毛を触っていた

なにかの恋愛サイトで見たけど
寝てる女性にキスをする男性心理は
もはや本命彼女にしかしないと書いてあった
だから、私はきっと彼に愛されていたのだ

 

 

 

そう思わないと、やりきれないので

都合のいいようにどうか勘違いさせていて欲しい

 

 

私が部屋に来てることを知らせた日には
大抵定時に帰ってきてくれ
オムライス・パスタ・すき焼き・カレー
を作って食べさせてくれた

私の手料理が食べたいっていうから
オムライスを真似して作ったら
「俺の方が上手」って言いながらも
嬉しそうに食べていた顔がもはや懐かしい

休みの日には
朝からドライブして太宰府天満宮山口県まで
デートしたりもした
高身長の彼には私の車の助手席は
窮屈そうで可愛かった

文句言いながらもランチにサラダを食べに行ったり
ウサギをペットショップに見に行ったりもした
早起きして朝食を食べようと計画してたのに
結局起きれなくて
世界一美味しい朝食のお店でブランチもした

 

 

 

 

 

 

 

約一年数か月の思い出の箱には
数えきれないくらいの幸せがたまっている

 

冬になると
どうしても思い出してしまう、彼の事を

決して「好き」だと言ってくれなかった彼の事を

 

 

 

 

、、、私は彼に愛されていたのだろうか?

 

 

今でもそんな疑問が湧いてくる
もうそんなことどうだっていいはずなのにさ

 

 

 


キラキラ

キラキラ

 

ー重くって、軽い